13年間、一緒に暮らしている「家族」
西橋選手の宝物は猫ちゃんだそうですね。どのように出会った子なんですか?
わたしが中学1年生だった13年前の話になるんですけど、家族で福井県のバッティングセンターに行ったときに保護されていて、お姉ちゃんが「連れて帰ろう」って言い出したことから石川県の実家で引き取ったんです。そのとき生後5か月くらいだったから、いまは13歳。雑種の男の子で、みねおくんといいます。
名前は自分でつけたんですか?
いえ、気がついたら母がそう呼んでたんです(笑)。「語呂がいいから」って言ってました。
どんな子なんでしょう?
最初はやんちゃ……。やんちゃというほどではなくても、壁で爪とぎとかはしてましたけど、いまはおじいちゃん(高齢)になったので、だいぶおとなしくなりました。昔は猫じゃらしを振ると、宙を舞うような感じだったから、飛ばしまくりだったんですけど、ある程度の年齢になってからは、“おまえが振ってるんだろ”みたいな顔をするようになったんです。遺伝的なもので、糖尿病になってしまったんですけど、いまも元気です。母が毎日2回、インスリンの注射を打ってくれてるんです。
今回はテーマが宝物なんですが、宝物というより“家族”に近そうですね。
本当にそうですね。13年も一緒にいるので、飼うとかいう感じではなく、一緒に暮らしています。
「なかなかアタマいいな、キミ!」って感じです
みねおくんに個性的な部分はありますか?
カギしっぽですかね。ぐにって曲がってます。あと、水を飲むときに、皿からペロペロじゃなくて、手ですくって飲むんです。なんだかお上品に(笑)。1年前くらいから急にそうなったんですよ。その姿がかわいいんですけど、周りは水でびちょびちょになります。
コミュニケーションはうまく取れていますか?
13年も連れ添ってるんで、意気投合してきたというか、こっちが「おはよう」って言うと「にゃあ」って返してくれたり、「おいで」って呼んだら来てくれたり。言葉がわかっているのか、わたしの表情から読みとっているのか……。意思疎通できているので、そこがかわいいですね。「なかなかアタマいいな、キミ!」って感じです。今年13歳なので(2022年取材当時)、中学1年生くらいにはアタマが良くなってきたのかなと(笑)。こっちが落ち込んでいると、“どうした?”みたいな顏をして、そばにいてくれたりもします。
猫ってマイペースなので人間が振り回されやすいものですが、そういうところはありますか?
ありますね。でも、わたしもすっごいマイペースなので、いつもかまってるわけじゃなくて。みねおが寄ってきて、撫でてってアピールしてきても、「いま忙しいから、ちょっと待って」って放置したりすることもあります。お互いさまというか、どちらもマイペースですね。
みねおがいるから頑張れるし、事故もできない!
離れがたい存在になっているようですね。
そうですね。とくにボートレーサー養成所での訓練時代は、1年間会えなくなるんでつらかったです。おねえちゃんがいっぱい写真をプリントしてくれてたんで、それを見てました。教官に怒られたりして、帰りたくなったときにも、みねおの写真に励まされて「ここでへばってたらダメやな!」って助けになってました。あとからおかあさんに聞くと、時々さびしそうに、わたしの部屋を覗いたりもしていたそうです。……いまは、レースに行く前、「行ってくるけど、元気でおってね」と声をかけてから家を出てます。宿舎で家とも連絡を取れないんで、体調悪くなったりしてないかな、とか心配にもなります。レースに関しても「無理はしてもムチャはしちゃダメだ。ちゃんと無事故で帰らないといけないな」って思うし、すごく心の支えになってますね。
13歳という年齢だと、たしかにいろいろ心配ですね。
いま、元気なことは元気なんですけど。いつ体調崩すかわかんないんで、どれだけ楽しい旅行とかをしていても、「みねお、大丈夫かな。元気かな」と思うときはありますね。
子どもか恋人のようでもありますね。
いや、ホントに。この子のいない生活は考えにくいですね。……それはきつい。
長生きしてくれることを祈っています。
ありがとうございます!
今回のテーマは宝物なので、西橋選手はもしかしたら「日本刀」って言うのかな、とも思ってたんです。「歴史が好きで、いつか日本刀を買いたい」と話していたことがあった気が……。日本刀は買ってないですか?
買ってないんです(なぜか小声)。冷静に考えたら、うちの雰囲気には合わんな、と思って。まず和室を用意しないといけないですから(笑)。日本刀は、ゆくゆくは、ですね。